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リレーコラム

第五回 「自然とのふれあい・花と花壇を楽しむ」

千葉 崇一
Tachikawa Totalコンサルティング 代表

Ⅰ.みんなで素敵な花壇をつくろう

1.土づくりから始めよう
(1) 土壌のPH値( 酸性、アルカリ性) を調べておこう
 植物の多くは弱酸性(PH5.5~6.5) から中性(PH6.5~7.5) の土でよく育ちます。
 ただ、日本の土壌は火山灰土が多く、また酸性雨も場所によっては降ります。従って、多くの土壌はPH4.0~6.0の酸性のところが多いため、PH調整をしないと植物は十分に育たずに枯れてしまう恐れがあります。
 そのため、植物に適した酸度に調整するには、石灰を混ぜて使います。(簡単なPH調整法)
 まず、土を溶かした容器の上澄み液をリトマス試験紙に浸けてPH値を測定します。
 次に測定結果に対して、PH値を1.0上げるために、土10リットルにつき石灰10~20gを混ぜ込むことを目安として下さい。

(2) 土壌を殺菌、消毒しよう
①「土壌の天地返し」
冬の寒い時(1~2月) 土を30cm以上深く掘って土を上下に混ぜ返しておくこと。これは土壌の通気性が良くなり、弱った土を再び元気にし、偏った肥料を均等にする効果もあります。
また、土壌中の病害虫を寒気にさらすことで殺すことが出来、大変有効的な手段です。
枯れた植物の根や茎は、とかく病害虫の温床と成り易く、そのままにして苗や若木を植えると病害虫はそちらへ移行して折角の苗や若木は病気に冒され、枯れてしまう危険性があります。

(3) 堆肥を有効活用しよう
 堆肥は混ぜ込むことによって、土の間にすき間が出来、空気の通りがよくなります。
また土壌中に微生物を増やしてくれるし、酸性度も安定させてくれます。そのうえ、肥料の流失を抑え、根に吸収されやすくする効果もあります。
 土の手入れは大変重要で怠っていると土は硬くなり、水はけも悪くなり、植物はうまくそだたなくなります。従って時には掘り返して、空気の流通を良くさせ、堆肥も入れて土を元気にさせましょう。


2.花壇の設計と演出
(1) 単純なデザインが基本
 植物は種類が多いため、あれもこれも植えたいという欲が出て複雑なデザインを考えてしまいがちですが、広い公園のようなところは別として、ある程度の広さのある場所でも、大まかに区切りながら同じ種類のものを植える方が見映えがよいです。
 何種類もの植物を複雑に入り組ませても、植物は期待通りにはなかなか育たなく、結局は失敗してしまいがちです。
 また花壇の形は単純な形にした方が自然な感じが出て失敗が少なくなります。
②土壌中の不要な物質を取り除いておく

(2) 花壇は季節を想像して作ろう
 自分が植えたいと思っていた植物類が、四季折々にどのように変化していくか、それを絵にしてみましょう。これがわかれば植え替えの時期、必要な株数、作業の手間の時間等がわかって効率よく、しかも花壇全体のことが把握できるようになります。
 このように、どのように仕立てたいか、はっきりしたイメージがないと、努力のわりに見映えのしない結果になりがちです。
 また、花壇に凝りすぎても全体の調和からみて違和感が出てしまいます。

(3) 花壇に立体感と奥行きを出すために
 奥行きのあまりない花壇で幅も狭い場合は、植える花の色次第で奥行きを感じさせることが出来ます。
 手前は明るい色、奥には暗めな色調の花を植えて、コントラストの差を出します。またその奥に、淡いパステルカラーの植物を配置すると、一段と距離感が出てきます。

(4) 見映えをよくするには
 宿根草は花壇辺縁部に植えるとよいと思います。特に冬場でも葉の落ちないタイプであれば、年間を通して縁取りの緑が楽しめます。また、中央部には、短念草(一年草)を植えると華やかな種類が多いため、見映えのよい花壇が出来上がります。

(5) 淡い色合いを積極的に花壇に取り入れよう
 花壇にいろいろな種類を植える時、色の取り合わせは中々難しく、強い色を中心にまとめて植えると、見る人が疲れてきます。迷いが出たら、おだやかなパステルカラーを中心にすると失敗がありません。はっきりしたカラーの強い花は、多少混ぜるくらいにとどめておくのが良いと思います。

(6) 高低差をつけて立体感を出す
 草花に高低差をつけて植え込むと、全体が広く美しく見えます。また、草丈が揃っていると逆に見映えがいまひとつの感じになります。この場合、壁または塀際などから植える時は、奥から手前に、花壇の内側に向かって次第に低くなるようにすると良いと思います。3段階の高低差が望ましく、石やレンガを利用しても良いと思います。


3.苗を花壇に上手に植えつける方法
(1) ポットから苗を上手に引き出す
 ポットに入った苗を購入し花壇に植え込むときに、苗の土がくずれてしまい、根の部分を痛めてしまうことが往々にしてあります。
 この場合、取り出す時にポットを逆さまにし、植物の生え際を人指し指と中指で挟んで、逆さにしたポットの中央部にある穴に、もう一方の手指の人指し指で押し込むようにして押し出すとうまくいきます。

(2) 苗の根を上手にほぐす
 苗の種類や季節によって、根のくずし具合が異なります。これをおろそかにするとせっかくの苗が元気に育たなくなる可能性がありますので注意しましょう。根をくずす時、根の先端にある毛根をとらないように注意して下さい。
 球根苗の根は軽くもみ込む位でそのまま植え込みます。
 春に植える苗の数は根半分以上くずしても心配ありません。夏の暑い時期や秋や冬に植え替える場合は1/3だけくずします。

(3) 多年草(宿根草)は株間を十分にあける
 宿根草は1度植えると同じ場所で増えていくので、生長した時のことを考えて、植える場所を決めるようにしましょう。また品種により草丈の長短、咲いたときの色のバランス等を考えて植えるようにします。株間もあまりつめないであけておかないとやがて株同士が込み合って見苦しい状況になりますので要注意です。

(4) 肥料について
 有機質肥料( 鶏フン、油カス、骨粉etc.) は効果が長く続くので、植物を植えつける前の元肥に最適です。
 化成肥料は元肥の効果が薄れてきたときの追肥として使うのに適しています。更に速効性があるのが液肥です。


4.上手に種子を育てる方法
(1) 大、小の種子を均等にまく方法
 大きめの種は等間隔で1 粒ずつ上に埋め込んでいけば良いですが、小さい種子は均等にまこうとしても、どうしても片よりが出ます。そうした時に市販の香辛料が入っている容器を利用するとうまく均等にまくことが出来ます。まず、容器に種子を入れて、更に「ふるい」にかけた用土も一緒に入れて、塩、コショウをふりかける要領で土にまくとうまくいきます。その際種子の大きさに合わせて容器のフタの穴のサイズを調整して下さい。

(2) まいた種子の水やりのコツ
 種を飛び散らせずに水やりするには、できるだけ小さい穴のジョウロで地面に近いところからやるようにして下さい。
 このとき、高い位置にジョウロを構え、水の勢いを強くすると、せっかく播いた種子が流れてしまいますので気をつけましょう。
 また、水やりの時期は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えることが大切です。花壇に直まきしないで苗床で発芽させようとする場合、苗床の容器よりひとまわり大きめの容器に水を張って、その中に苗床の容器を沈め、下から水を吸わせるという「腰水法」と呼ばれる方法があります。これは水やりによる種子の飛び散りを防ぐ意味ではすぐれています。但し、浸け放しにしておくと、水を与えすぎてしまうので要注意です。

(3) かための種子は1晩水に浸けておく
 種子は自身の生命を守るため固い鎧みたいな外皮でおおわれていますが、これを少しでも柔らかくして発芽しやすくするために、水またはぬるま湯につけておくと外皮が柔らかくなり、発芽が早まります。

(4) アサガオの発芽しにくい種子の処理
 アサガオは往々にして発芽しにくい種子が多くあります。この場合、発芽しやすいように次の処理をすると良いでしょう。
 まず、種子のヘソとは反対方向へ皮をカッターナイフなどで削りとります。これで水の吸収がよくなり、かなり発芽しやすい状態になります。

(5) 良い種子の選び方
 選別方法は簡単です。全ての種子を水につけて沈んだものが良い種子です。


5.苗を上手に生育させる方法
(1) 苗の間引きは重要
 苗を育てる段階で大切なことは、「間引き」をすること。これは丈夫で健康な苗をつくるためには大変重要です。
 間引きをしなかった場合、栄養が十分に行き届かないので、どれも弱い苗になってしまいます。間引きは3~4回に分けて行うことが効果的です。発芽して双葉が重なってきたら苗の1/3くらいを間引きします。
 もう少し生長した時点で、より元気な苗を残し、さらに成長させたらまた間引きをするという具合に3~4回に分けて行うことにより、丈夫で元気な苗を残していきます。

(2) 苗の植えつけ時期
 苗の本葉が10枚くらい出てくる前に植えつけるようにします。

(3) 苗の選び方は茎と根の状態をみて判断する
 茎が細長く伸びている苗とか、葉が黄色がかった苗とか色々ありますが、いずれも日照不足か、肥料不足だったりで不健康なものでうまく育ちません。葉が厚く葉色は濃く、茎が太くてしっかりしたものを選ぶようにしましょう。
 ポットの中の根もチェックしましょう。茶色の根がびっしりと張っているものは要注意です。長い間ポットに植えられっぱなしで、植えつけ時期を過ぎた苗が多く、元気な苗の根は太く、白くてポットからはみだした状態のものもあります。

(4) つぼみを重視して苗を購入しよう
 苗を購入するとき、とかく花がいくつかついている苗を選びがちになりますが、植えた後次々に咲いてもらうためには、つぼみの数が大事で、しっかりした葉が育っていて、つぼみの数がたくさんついている苗を選びましょう。また植える時期は霜のおりる心配がなくなるまで待ちましょう。このほうが、失敗が少なく、つぼみを無駄なく咲かせることが出来ます。

(5) 気候が変動して寒い日がある時は苗は購入しない
 春先の苗を購入するときは、気候と温度差が不安定のため、冷え込む時は霜がおりることもあるので、折角購入しても一夜にして枯れてしまうことがあります。
 従って、植えつけ時期も考慮して暖かさが安定するまで、購入は控えておくべきだと考えます。


6.良い球根の選び方
(1) はつらつとした球根を選ぼう
 球根の底がかたくて根が生えていないもの、芽も出ていない物を選びます。外皮もたるんでいたり、キズがついていたりしないこと。そして、球根を親指と人さし指で軽く握ってみて、かたく引き締まって重量感のあるもの、軽くてからっぽの感じがするものは避けた方が無難です。

(2) 秋植えの球根は早めに購入しよう
 涼しいところに保管されているものを出来るだけ早めに購入すると、いいものが手に入り易いです。逆に11月頃安売りされている物は鮮度も落ちて、売り残り品が多く、手に入れても花は咲きづらく、お奨め出来ません。

(3) 球根を植える場合、10~15cm位の深さの穴を掘って植えます
 但し、プランター等に植える場合は、球根の先端が見える程度にしておきます。
 注意として球根は乾燥するとウイルス病に感染しやすくなりますので、植えつけたら水をたっぷりやるようにして乾燥を防ぐようにします。
 また、成長していくにしたがって球根の中の養分がなくなっていくので、それぞれに合った追肥をするようにして下さい。


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